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整形外科・リハ医の視点2 なぜ、卓球は健康にいいのか
整形外科・リは医の視点1に引き続き、整形外科・リハ医の佐藤務先生が、生涯スポーツといわれる卓球が【なぜ、健康にいいのか】を解説します。
佐藤 務(さとう つとむ)先生
稲毛病院 整形外科・リハビリテーション科/健康支援科部長/地域連携室室長
卓球の動きは、日常の動作に結びつく
卓球の動きの中には、日常生活の動作につながるさまざまな動きが隠れています。
●卓球で動く範囲は約6畳
卓球で動く範囲は、卓球台に対し、左右に1.5m、後ろに2m動くとすると、約6畳分。これは掃除や家事など日常的な活動をする範囲と非常に似通っています。
●ラケットの重さは包丁と同じ
ラケットは約180g、包丁は約150g。ラケットを握っての動作は、包丁やフライパンを持つ料理の動作に結びつきます。また卓球台の高さは、キッチンやテーブルとも近い高さです。
つまり、卓球をすることで、日常生活に必要な運動機能を自然と鍛え維持することができる。卓球を続ければ、いくつになってもいきいきした日常生活を続けられるというわけです。
●ボール拾いとトイレの意外なつながり
たとえば、ラリーとラリーの合間で床に転がるボールを拾いに行く動作(歩く→ボールの位置の視認→深くかがむ→拾う→立ち上がる→振り返る→戻る)は、自宅でトイレに行き、戻ってくる一連の動作(歩く→振り返る→トイレの座面の視認→かがんで座る→立ち上がる→戻る)につながり、リハビリの観点から見てもすばらしい。
他の競技よりも体への負担が少なく、ボールを打ち合う動作以外でも適度な日常生活をサポートする運動効果が期待できます。
目の前に手をつける台がある安心感
高齢者にとって怖いのは運動時の転倒です。しかし、卓球は、目の前に台があるので、いざとなれば手をつくことができ、安心してプレーを楽しむことができます。また、イスに座ってプレーすることも可能なので、体調に合わせた楽しみ方ができるのも卓球の大きな魅力のひとつです。
前頭葉を刺激し、瞬間的な判断力を養える!
卓球は、すばやく移動するピンポン球を目で追いつつ、相手の動きも観察しながらプレーをするスポーツです。
人は加齢に伴って身体機能が衰えていきますが、卓球は眼球運動をはじめ神経系統にも作用します。それが、前頭葉にも刺激となり、瞬間的な判断力を養うことにもつながります。
一緒にプレーする「相手」がいる!
卓球は1人ではなく、誰かと一緒にプレーすることが大きな魅力です。ラリーがたくさん続いたり、新しい技術を覚えたり、試合で勝ったりすると、非常に楽しい気持ちになります。
また、老若男女問わず一緒にプレーができるので、世代を超えた交流も、楽しみのひとつになります。このようにしてさまざまな「楽しい」を体感できるのが卓球の良さです。
年齢と共に孤立しやすい高齢者も、卓球をすることでコミュニケーションの輪が広がり、仲間と楽しみを分かち合うことが、心とからだの健康につながっていくのです。
「健康卓球」は、健康長寿に最適です。卓球、生涯を通して楽しめる健康卓球のすばらしさをぜひ多くの方に伝えてください。
次回は、私が考案した「健康卓球リハトレ」をご紹介します。
佐藤 務(さとう つとむ)先生
稲毛病院 整形外科・リハビリテーション科/健康支援科部長/地域連携室室長
1991年国立宮崎医科大学卒業。都内民間病院にて、内科・外科・整形外科・麻酔科・ペインクリニック・透析・漢方・鍼灸・救急・在宅医療と幅広い研修を積む。1995年より稲毛病院整形外科勤務、漢方肥満外来、ビタミン外来、健康支援科を併設し、治療だけでなく予防・ケア・看取りも含む総合医療を展開。
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