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”一歩を制する者は卓球も人生も制する” 整形外科医が考案した健康卓球リハトレとは?

更新日:2020年4月22日

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健康卓球リハトレ1 はじめの一歩のための基礎トレ

整形外科・リハ医の佐藤務先生が開発した、健康卓球リハトレの基礎トレーニングとなる名付けて“イチロースクワット”。1歩の蹴り出しが早くできれば、卓球上達はもちろん、転倒予防にもつながります。

あわせて卓球の健康効果、とくに整形外科領域の予防効果を解説します。


卓球は、ケガがすくないスポーツ

日本人の農耕民族としての姿勢やからだの使い方、日本人の生活や和の文化と卓球には多くの共通点があることは、「なぜ日本人は卓球に惹かれるのかは、整形外科・リハ医が紐解く卓球の魅力とは」で解説しました。今回は、整形外科医の視点から卓球の健康効果、とくに整形外科領域の予防効果をあげていきます。

卓球は、数あるスポーツの中でもけがが少ないといわれています。

ワールドカップで大いに盛り上がったラグビーやサッカーなどのような接触プレーや跳躍が多いスポーツでは試合や練習でケガが絶えないのはご存知のことでしょう。

また、体の一部に極端な負荷がかかるスポーツもケガ(故障とも言われる)がつきものです。野球肩、テニス肘はその典型です。


高校卓球部のケガは、わずか65人に1人


ケガの報告数を各競技の高体連の加盟人数で割って、部活動ごとのケガの発生頻度をみてみました。


高校の部活動のケガの発生頻度は、最も高体連の登録数が多いサッカーでは5.5人に1人、激しい接触プレーが多いラグビーでは2.4人に1人です。接触プレーがないテニスが14.1人に1人なのに対し、卓球は65.2人に1人です。ほかの競技と比較してみると、卓球がいかにケガが少ないスポーツであるかがわかります。


シニアのケガはスポーツよりも日常生活での転倒

高校生の部活動のケガの発生頻度からみても、卓球がケガの少ない安全なスポーツであることはまちがいないようです。

それこそが、年齢にかかわらず楽しめる理由でもありますが、シニアになるとスポーツではなく、日常生活でケガをすることが多くなります。そのため、生涯にわたって卓球を楽しむためには、日常生活でケガを防ぐことが大切になってきます。

東京消防庁によると、日常生活における事故で救急搬送される65歳以上のシニアが年々増えているそうです。特に、その原因の多くが「ころぶ事故」。転倒は、入院を要するケースが多いことから注意が必要です。

「自分に限って転ばない」「まだまだ先のこと」と感じている方も、今から転ばない対策をしておくことが大切です。


二足歩行の宿命、人は転倒する動物である

人は2足歩行を始めたことで、転ぶようになりました。歩き始めの赤ちゃんは、転びながら歩行訓練をしていきます。乳幼児もよく転びますが、からだのバランスを身につけることで徐々に転ばなくなります。そして、年齢を重ねるうちに再び転びやすくなります。なぜ、人は歳を取ると転びやすくなるのでしょうか。転倒のなにが問題なのでしょうか。

高齢者の転倒の原因に、視覚・聴覚・筋力などからだの機能低下があります。薬を5種類以上服用していたり、脳梗塞、パーキンソン病、糖尿病などの人が転びやすいことがわかっています。フレイル・サルコペニアなど老化の進行など身体サイドの問題もあります。ほかにも、暗いところや路面や床面の滑りやすい状況、階段や部屋の入口などの段差といった環境要因もあげられます。

高齢者の転倒の最大の問題は、骨がもろくなる骨粗しょう症の人が転ぶと骨折したり、頭をぶつけて頭蓋内血腫などにより、寝たきりの原因となることです。


ひざ痛、転倒・骨折は要介護を招く

2016年の国民生活基礎調査では、介護が必要となった主な原因を要介護度別にみると、要支援者では「関節疾患」が17.2%で最も多く、次いで「高齢による衰弱」が16.2%、「骨折・転倒」が15.2%となっています。「骨折・転倒」は、要介護4、要介護5で「認知症」「脳血管疾患(脳卒中)」の次に多い原因としてあげられています。

「膝が痛い」「転んだ」という誰にでも起こりうることが、実は要介護や要支援の原因になっています。膝痛や転倒・骨折の予防は健康に年をとるうえでたいへん重要なのです。


転倒・骨折予防のために卓球を続けよう

卓球と膝痛、転倒・骨折の関係についてはどうでしょう。膝痛の予防には、太ももの前の筋肉(大腿四頭筋)を鍛えることが有効です。卓球で軽いフットワークを身につけるためにも、この大腿四頭筋のトレーニングが重要です。

卓球は、ラリーを続けていると、下半身とともに体幹の筋肉を鍛えることができます。強い体幹は姿勢を安定させ、転倒予防につながります。このように骨折の最大の予防法である転倒予防のためにも、卓球は有効と考えられます。


試合で勝つ!その前にケガしないためのトレーニング

様々な健康効果が期待できる卓球トレーニングは、卓球の上達とからだづくりが両立できるのではないか、そのような発想から、卓球の動きの基本トレーニングで将来転倒・骨折および寝たきり(要介護)を予防する「健康卓球リハビリトレーニング」を考案しました。

今回考案したトレーニングは、卓球そのものの上達、さらに生涯卓球の準備運動でもあるので健康卓球リハトレと名付けました。卓球の上達に必要な運動、転倒予防、変形性膝関節症の予防という3つの観点を融合させたものです。

試合に勝つためには、左右・短長・緩急をつけたボールで相手のバランスを崩し、疲れさせる。苦手なバックや正面に打つ。回転をかけミスを誘うなど戦略はさまざまにありますが、まずはケガをせずに卓球を楽しむための基本的なからだをつくりましょう。




 
「健康卓球」に賛同し、整形外科・リハ医の視点で卓球の魅力を解明する佐藤 務 先生

佐藤 務(さとう つとむ)先生

稲毛病院 整形外科・リハビリテーション科/健康支援科部長/地域連携室室長

1991年国立宮崎医科大学卒業。都内民間病院にて、内科・外科・整形外科・麻酔科・ペインクリニック・透析・漢方・鍼灸・救急・在宅医療と幅広い研修を積む。1995年より稲毛病院整形外科勤務、漢方肥満外来、ビタミン外来、健康支援科を併設し、治療だけでなく予防・ケア・看取りも含む総合医療を展開。



 
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